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リキッドステーキングとは

本記事では、リキッドステーキングついて解説しています。リキッドステーキングの概要、仕組み、また、運用面でのメリット、デメリットについて記載しています。

目次

簡単、ストレスフリーなステーキング

ブロックチェーンでは、”バリデータ”と呼ばれる役割が存在します。POS(Proof of stake)の場合、バリデータはトークンをロックしセキュリティを支えると同時に、対価として報酬のトークンを受け取ります。
しかし、持続的な運用には専門的な知識、ハードウェア管理などが要求され、一般向けとは言いづらいのが現状です。
一方リキッドステーキングでは、ウォレットの扱いさえ覚えれば誰でも簡単にステーキングの恩恵を受けられます。
 

リキッドステーキングの仕組み

ユーザー側

ユーザーはトークン(ETH, AVAXなど)を預け、領収書代わりのトークン(リキッドステーキングトークン)を受け取ります。
受け取ったトークンは、そのまま保持する、またはDeFiで運用するなど、使い道は自由です。
 

バリデータ側

ユーザーから集められたトークンを追加で利用し、ノードを運営します。
発生するステーキング報酬の一部を手数料として受け取り、より多くの収益が期待できます。
 

有名なリキッドステーキングサービス


市場規模

リキッドステーキング全体のTVLはおよそ50b程で、これはDeFi全体の総預金額の大部分に相当します。DEX, Lendingなど、数あるDeFiプロジェクトの中でも特に人気のカテゴリであると言えるでしょう。
 

主要なリキッドステーキングプロジェクト

2023/3/21時点、 “Lido”が全チェーンを通じ、TVL(総預かり額)で1位となっています。
他にもEthereumでは、”Rocket Pool”, “Stake Wise”, “Frax”などが有名です。
他チェーンでは、”Benqi”, “Marinade”, “Acala”などが知られています。
 

メリット

流動性の獲得

通常のバリデータの運用中では、ステークされたトークンを引き出せず、その他の用途(主にDeFi)に利用できません。
しかしリキッドステーキングでは、預けたトークンの「元本を引き出す権利、利回りを得る権利」をトークン化、流通させ、POSステーキングの流動性問題を解決します。
 

小額からの参加

POSチェーンのバリデータになるためには、最低ステーク量以上のトークン(Ethereumの場合、32ETH)を用意する必要があります。
反対にリキッドステーキングでは、一部の例外を除き条件は存在しないため、比較的少額(0.01ETH~など)から参加できます。
 

安定した利回り

基本的にリキッドステーキングの収益の源泉はバリデータ報酬です。
他のDeFiでありがちな独自トークン排出由来ではないため、持続的な利回りが見込めます。
また、預けたトークンを引き出す権利を持つため、リキッドステーキングトークンの価値は元資産と強い相関関係にあります。
 

リスク・問題点

ハッキングリスク

他のDefiプロダクトと同様、プログラムに問題がある場合、預金者は損失を被る可能性があります。
 

引き出し時のロック期間

預けたトークンの引き出し申請をしてから7~30日程度のロック期間があります。即時にトークンを受け取れず価格変動リスクに晒されます。
ただし、交換レートは異なりますが、DEX(TraderJoeやUniSwapなど)でトークンを交換し、即座に実質的な引き出しが可能です。
 

スラッシングリスク

一部例外を除きPOSチェーンでは、バリデータ側でスラッシング(適切にノード運営がなされなかった場合に、罰金を支払うこと。)が発生した場合、ステーカーにも損失が発生します。
また、プロジェクト側が保険用資金を備えている場合があります。利用前にスラッシング、保険金の有無の確認をしましょう。
 

オペレーターリスク

ユーザーからのトークンの受け取り、新規トークンの発行はスマートコントラクト(プログラム)により実行されるため、透明性が高いです。一方、バリデータ側は受け取ったトークンを手動で操作することが多いため、完全にトラストレスとはいかないのも現状です。
 

クライアントリスク

Ethereumバリデータは、複数のプログラミング言語で記述されたコンセンサスレイヤー、エグゼキューションレイヤーの組み合わせにより成り立っています。仮に特定の言語に問題があった場合、ネットワークに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
これはリキッドステーキングのみに限らず、ネットワーク全体の問題ではありますが、リスクとして認識しておきましょう。
 

まとめ

今回はざっくりとリキッドステーキングの概観を紹介してきました。
また、今回は取り上げませんでしたが、TVL1位の”Lido”への集中問題、ステーク先のバリデータの分散化などの議論も頻繁に見受けられます。
リキッドステーキングの課題、POSチェーン全体のセキュリティ問題の解決を目指すべく、新規プロジェクトが続々と立ち上がっているので、より深く調べてみるのもおすすめです。